魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 けれど、もしその要望が通ったとして、そのとき王都民はどうなってしまうのか……

 それもまた分かりきっていた。

 なら、このまま共倒れするのか……

 ソフィーは鍋をぐるぐるかき混ぜていると、自分の思考まで一緒になってぐるぐると回るような気がした。

 こんな状況だというのに、ソフィーの隣では能天気なイーダが使い魔との契約を夢見て張り切っていた。

(妹も娘も……みんないい子たちばかりだ)

 そのことが余計に胸を締め付ける。

(ちょっとぐらい弱音を吐くとかしてくれたっていいのに……)

 そういえば……とソフィーは思い出した。

「薬の配達に行った子がそろそろ戻ってきてもいいはずなんだけど……」

 窓の外を覗いてみると、ちょうど空に箒が3本ほど浮かんで見えた。
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