魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
やたらと長い誓いのキスが終わる頃には、光はふたりの身体に納まっていた。
「この魔法、何ですか!? めちゃくちゃ強力じゃないですか?」
「うん。死がふたりを分かつまで効力は消えないから。これで僕らが夫婦だってこと、魔族にはひと目で分かるよ。浮気なんてできないと覚悟して」
「浮気なんてしませんよー。それをいうなら魔王様こそ……」
言いかけて思い出す。『お嫁さんはひとりでいいんだ』と言っていたことを。
「まずは僕が王妃を迎えたことを魔王城中に知らせたいなー」
魔王は機嫌よくイーダの手を取り、歩き始めた。
儀式の間を出ると、侍従長が待機していた。
「おめでとうございます」
「侍従長、王妃のお披露目をしたいから準備を頼む」
「かしこまりました」
恭しく下げた頭を上げながら、侍従長は『そうそう』と、さも今思い出したかのように付け足した。
「夫婦の寝室は準備ができています。本日からお使いくださいね」
魔王とイーダは仲よく同時に顔を真っ赤にしたのだった。
END
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