魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 マルスドッテル王家の傍系にあたるノールブルク家の領地に、“魔女を保護する”という名目でこの集落を作られたのには理由がある。

 端的にいえば、魔女には利用価値がある。

 けれども、怪しげな魔女たちを王家が直接保護するとなると外聞が悪い。

 そこで王家の直轄地ではなく傍系のノールブルク領で、というわけだ。

 王家の直轄地やノールブルク領内で、もしかして……という女児の捨て子や孤児がいたときには、孤児院に入所させる前にこの集落に連絡が入ることになっている。

 その子が泣くと小動物が集まってくるだとか、家具が揺れるだとか、そういった説明のつかない現象が起こることが稀にあるのだ。

 魔女かどうかは、魔女にはひと目で判別できる。

 だから、この集落の誰かが面会に行き、魔女なら即座に引き取って、連れ帰ってくる。
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