魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 そうして、イーダの顔に化粧を施しはじめた。

(『髪を縛ります』とか『化粧をしていきます』とか、ひと言くらい言ってくれたっていいのに……)

 イーダに対しては、その程度の気遣いすら不要ということらしい。

 イーダが不満を表示するために大袈裟にため息をついたとき、ひとつに束ねられた髪をぐいっと引っ張られた。

「だから、いちいち痛いんですけど!」

 ザクッ……

 嫌な音とともに、頭皮を引っ張る力が一気に緩んだ。

 床に髪の束がバサッと落ちた。

 何をされたのかは一目瞭然だった。

 それを見下ろすと同時に、涙がポタポタッと落ちた。

 これでは、いよいよ罪人だ。檻車で運ばれただけでは飽き足らず、斬首刑にでもされるというのか。

「ウィッグから地毛が見えるといけませんので」

 メイドのひとりが冷たく言い放ちながら、ハサミでさらにジョキジョキ切っていく。

 そうしてウィッグネットをかぶせられた。
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