魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
「あの……」
王女は驚いて、目をぱちくりさせている。
「名前は婚姻の儀式のときまで言わないで」
「は、はあ……」
「人間界は違うのかな? 魔界では自分の名前を不用意に言ったりしたら危険なんだ」
王女は口を半開きにして魔王を見ている。
「何? 僕、変なところでもある? あっ、角、角か! でも、別にこれで何かするわけではないし、飾りみたいなものだと思ってくれれば……」
「い、いえ……そういうことではなくて……魔王様がフランクにお話ししてくださるので……」
(怯えてるわけじゃなくてよかった!)
「そうだ、侍従長を紹介しておくよ」
「侍従長、ですか?」
「要望でもクレームでもとにかく全部彼に伝えてくれれば、侍従長自身か適任の部下に任せるかして対応してくれるはずだから」