さまよう綸
第12話
7月7日、昼食後リッキーが私の部屋に来た。
「綸ちゃん、一日遅れだけど誕生日おめでとう」
そう言って彼は小さな包みを私に差し出す。
「えっ…催促してしまったかな…」
今朝の朝食時、樋川さんと千紗さんの赤ちゃんが無事誕生という話で国府は盛り上がっていた。私と同じ誕生日、と無意識に小さく呟いたのを隣のリッキーが聞き返してきたのだ。
「そんなことは無いよ、仲良いんだから当たり前。開けてみて」
誕生日プレゼントなんてもらったことない。包みを開ける手が震え、包みから現れた箱に涙が落ちる。慌てて箱を手で拭きそっと箱を開けると
「…きれい」
「アンクレット。本当はネックレスか…もっと言うならリングをプレゼントしたいところだけどね。正宗からは綸に手を出すなと何回もキツく言われてるからさ、控えめにしたよ」
彼は複雑な笑顔を見せ、つけてみてと言う。箱から取り出すと細いゴールドが煌めき、光り方によってリッキーの髪色に似ている。そっと左足首に付けて…そのゴールドが滲んで見えた。
「リッキー…ありがとう。誕生日プレゼント…初めてもらった…アクセサリーもひとつも持ってないの。これだけよ…大切にする」
リッキーはそっと私を抱き寄せ頭を撫でながらゆっくりと話してくれた。
「俺…綸ちゃんにはキャバクラで会った日に惹かれたよ。正宗が綸ちゃんに惹かれるのと同じ気持ちだと思う…あっ、田嶋さんの所で言ってたヤクザにモテモテってやつだな、ふっ」
言葉を区切り両手で私を抱きしめた彼は続けた。
「正宗はいい加減な奴じゃないよ。女の事も心配するようなことは全くないことは初めからわかっているし、今回の高須のゴタゴタも必死に寝る間も惜しんで収めているはずだ」
「…リッキー、正宗に怒鳴ったよね?」
「怒鳴った…綸ちゃんが表せない感情を俺が出したね。俺…綸ちゃんも正宗も二人とも大好きなんだ」
「ありがとう?」
「ははっ、何で疑問?」
「二人へ向けての愛の告白への返答に困ったから…」
「あははっ、綸ちゃん最高」
そう言いリッキーはぎゅうっと私を抱きしめ、そっと体を離すと私の肩に手を置き視線を合わせる。
「この部屋はこのまま綸ちゃんの部屋にするから、いつでも好きに泊まりにおいで。親父たちにも了承済みだよ。明日正宗から話を聞いて納得出来たら正宗のところに帰ればいい。納得出来ないとか、不安が少しでもあればここに戻って来い。いいな?」
私は彼の瞳に映る自分の顔を見つめながら頷く。
「俺、正宗にも幸せになって欲しいんだ。だから俺は綸ちゃんの兄貴になろうかな?」
「綸ちゃん、一日遅れだけど誕生日おめでとう」
そう言って彼は小さな包みを私に差し出す。
「えっ…催促してしまったかな…」
今朝の朝食時、樋川さんと千紗さんの赤ちゃんが無事誕生という話で国府は盛り上がっていた。私と同じ誕生日、と無意識に小さく呟いたのを隣のリッキーが聞き返してきたのだ。
「そんなことは無いよ、仲良いんだから当たり前。開けてみて」
誕生日プレゼントなんてもらったことない。包みを開ける手が震え、包みから現れた箱に涙が落ちる。慌てて箱を手で拭きそっと箱を開けると
「…きれい」
「アンクレット。本当はネックレスか…もっと言うならリングをプレゼントしたいところだけどね。正宗からは綸に手を出すなと何回もキツく言われてるからさ、控えめにしたよ」
彼は複雑な笑顔を見せ、つけてみてと言う。箱から取り出すと細いゴールドが煌めき、光り方によってリッキーの髪色に似ている。そっと左足首に付けて…そのゴールドが滲んで見えた。
「リッキー…ありがとう。誕生日プレゼント…初めてもらった…アクセサリーもひとつも持ってないの。これだけよ…大切にする」
リッキーはそっと私を抱き寄せ頭を撫でながらゆっくりと話してくれた。
「俺…綸ちゃんにはキャバクラで会った日に惹かれたよ。正宗が綸ちゃんに惹かれるのと同じ気持ちだと思う…あっ、田嶋さんの所で言ってたヤクザにモテモテってやつだな、ふっ」
言葉を区切り両手で私を抱きしめた彼は続けた。
「正宗はいい加減な奴じゃないよ。女の事も心配するようなことは全くないことは初めからわかっているし、今回の高須のゴタゴタも必死に寝る間も惜しんで収めているはずだ」
「…リッキー、正宗に怒鳴ったよね?」
「怒鳴った…綸ちゃんが表せない感情を俺が出したね。俺…綸ちゃんも正宗も二人とも大好きなんだ」
「ありがとう?」
「ははっ、何で疑問?」
「二人へ向けての愛の告白への返答に困ったから…」
「あははっ、綸ちゃん最高」
そう言いリッキーはぎゅうっと私を抱きしめ、そっと体を離すと私の肩に手を置き視線を合わせる。
「この部屋はこのまま綸ちゃんの部屋にするから、いつでも好きに泊まりにおいで。親父たちにも了承済みだよ。明日正宗から話を聞いて納得出来たら正宗のところに帰ればいい。納得出来ないとか、不安が少しでもあればここに戻って来い。いいな?」
私は彼の瞳に映る自分の顔を見つめながら頷く。
「俺、正宗にも幸せになって欲しいんだ。だから俺は綸ちゃんの兄貴になろうかな?」