さまよう綸
 暑気払い終了後、潤たちや組長さんまで私に会いに部屋まで来てくれた。

 組長さんは私が正宗と婚約した事を公にしたと報告した後‘お父さん’と呼ぶように言う。人生初の事が続いて戸惑う私に

「次会う時までに練習しておけよ、綸」

 そう言って帰って行った。潤と駿には気になっていた事を聞いてみる。

「正宗に会った時も思ったんだけど、皆少し痩せたよね?」
「あーそうかも…」
「ハードなお仕事だったんだね…お疲れ様でした」

 すると正宗が後ろから隙間なく私を抱きしめ

「潤たちでなく俺を労ってくれ…ベッドで」
「ちょ…ちょっとっ…人前で何言うの!」
「…お前ら帰れ、綸が照れる…見るな」
「「はいはい」」

 彼らは明日正午にここを出ると言いながら出て行く。

「俺の時間が減った分…濃く愛そうか?ん?」
「ひゃぁ…」

 耳を舐めながら言わないで欲しい…くちゅ…続けて耳の中に舌が入り込む。

 さらに彼は身を捩る私のワンピースのファスナーを下げ背中を舐める。

「っまって…シャワー」
「待てねぇ」
「やだ…汗…」
「構わない」
「…一緒に行く?」

 こうして一緒にシャワーを浴びるだけで済む訳もなく、翌朝11時30分に駿が連絡を入れてくれた時に私たちはまだ深く繋がっていた。時間には遅れ、腰が立たずに抱っこされてホテルを出るという恥ずかし過ぎる事態に、私は正宗の胸で寝たふりを続けた。
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