果物のように甘いだけじゃない

プロローグ

目が覚めると、瞳が涙で濡れていた。
額には玉のような汗をかいていて、額に前髪が張り付いている。
また、あの日のことが夢に出てきたのだ。


「ハァー……」



時計は四時。まだ一時間は眠れたのに――。
布団をはいで、ベッドから降りると『はな』の元へ行く。
そして、手を合わせた。
たんぽぽの押し花を胸の前でそっと抱きしめる。



「はな……」
そのままその場で横になって眠ってしまった。
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