君は優しい嘘つき

「だからって、なんでここに」

落ち着いたら今度は当然のように出てくるその疑問に、歩は迷うことなく答える。


「なんか家出た手前、すぐ戻るのも……ってなって、どっかで暇潰そうかなって」

「……遅くなる方が心配されるんじゃない?」

「……そりゃそうだけど、まぁ反抗期だから」


またよくわからない言い訳をされた。

反抗期なのがどうして理由になると思っているのかわからないけれど、これ以上聞いたところでそれ以外の言葉が返ってくるとも思えず、無理矢理納得させる。


「雫は何してたの?」

歩からの質問も当然のものだった。

「……気分転換」
「気分転換?」
「そう」

それ以上は答えたくないとばかりに俯けば、そんな卑怯な私を責めることもなく、そっかと頷く歩にきしりと胸が痛む。


「まぁもうすぐテスト近いしな」

「へ?……あ、うん。そうだね」

「俺のクラスの古典の先生さ、尾崎って言うんだけど。割とおじいちゃんって感じの。これが全然授業わかんなくてさ」

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