真名子さんの名(字)活
行ってやろうじゃないの、11時からのお料理婚活。
やってやろうじゃないの、真名子のちょっと良いとこみてみたいってか。

今回美容室のイケメンに用は無い。料理に髪の毛一本でも入っていたら、すみません!ご飯に髪の毛が入ってて、作り直しの要望が通る、最悪な状況になりたくないので髪の毛はガチガチスプレーで止めていこうじゃないの!それがマナーってもんじゃない!?

ちなみに前髪ぱっつんは気付いたら伸びてていつものおでこ全開のヘアスタイルに落ち着きましたよっと。

 「じゃあ明日ね。」
 「うす。明日ね。」



ん?明日ね?どゆことですかね?







「はい、皆さん今日はお越しくださいましてありがとうございます。今日はくじ引きでペアを決めて、料理を作っていこうと思います。」

教室で渡されたエプロンを身に付け、料理と出会って50年。料理に関しては私の右に出るものは居ないわと、放れん線のシワが物語っている熟女の先生が、
前回同様ネームをつけた私を含め、男女6人の前に立っている。

室内には木目口調のキッチンが上下に二つ、合計4つ並んで一瞬小学校の時の理科室がフラッシュバックして、アルコールランプに取り憑かれた青島くんが先生にこれ持って帰りたいっつって、いや、アホか?お家全焼させる気?って先生ももう少し言い方無いのかなっていうやり取りを思い出す。

青島君、泣きながらすげぇしつこく言ってた。


そして女性と男性分かれて対面状態の中で、先生が説明中にちょっと料理とは~とか語りだしちゃったもんだから、つい話を聞いているフリして男性の姿をスーパーで品物定めるおばさんみたいな感じで吟味していく。


 幸うす

 髪うす

 おでぶ



なるほどぉぉ!!
いや、私も人の事言えないよ?ぜんっぜん言えない。
私の髪型なんてちょっと前髪とかアホ毛とかまとめたくていつもより大量にかけております!みたいにスプレーでガチガチし過ぎて、パッと見カツラみたいになってるもん。
あれぇ?なんか浮いてない?ってテレビで映るコメンテーターのおじさん並にちょっと髪の毛浮いてるというか、置いた?なんかそういう髪型を置いた?みたいな感じになってる。

だから全然人の事言えない。
でも多分、女性陣同じ気持ち。

「あ~ハズレ…だなぁ。」
「ま、そんな時も…あるか。」

みたいな心の声が駄々漏れな顔してる。
ちなみにまさかの
【山中沙織 25歳】がまたいる。

向こうも気付いてて、お互いこの間はどうも~みたいな顔で会釈してさ、なんかもう逆に私が山中沙織の運命の相手だったんじゃないかと思うんだよね。

ちなみに今回のネームプレートは

【さおりん】でした。私も負けじと
【キンタマン】て書くかは迷いましたが、勇気は流石にありません。
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