真名子さんの名(字)活

「え?小森?何番目だったかな?子供のサッカーの練習試合あるから今日来ないって聞いてたよ?」



「ホルモン……私帰る。」
「真名子、それはあかんやつ」

受付で言い渡され、ハンドバッグドサッと落とした。天国から地獄に叩きつけられた言葉。
ビックリしたってもんじゃない。お金払った瞬間に今日のイベント中止宣言。払い戻しもないよってか。

そもそも【来ない】は良い。それはもうしょうがない、だって我々社会人。絶対来れる保証もない。
【子供】?【何番目】?

結婚してることも知らなんだ。そうですかそうですか。言葉のニュアンスで複数いることも知る由もねぇ。
ていうか私中学の頃の同級生の動き、全然知らねぇ。カースト制度上位の仲良いグループなんかは、知らない所でよく飲み会が開催されてるらしい。

えぇ真名子。
お呼ばれされたこともございません。

どちらかというと、小森けっこう上位グループ。何で付き合えたのかも不明。ただただ私がずっと好きだったのは日記帳でも書いてる通りそれだけは確かであるが、

「ほら?C組の秋山だよ?小森の嫁さんて」

ってビールの入ったグラスを持ちながら絡んでくる小森の友達に、アルコールで赤くなった顔で教えられる。新しい彼女が出来たから私フラれたけど、その元凶の女と結婚したらしい。何その携帯小説みたいな話。中学のカップルがそのまま結婚なんて都市伝説かと思ってた。

「めちゃめちゃお付き合い長くない?」
「いやぁ、なんかくっついたり離れたりしてたら子供出来てそのままって言ってたわ」

くっついたり離れたり?

乾いたら剥がれるけどのりつけたらまたくっつくって、人間関係は工作かよって。じゃあなんだ?私は離れてもくっつかなかったのは何故だ?理系大学院修了した教授でも無理難題か?
ノーベル賞でもとらないと、私は小森とヨリを戻すことは不可能だったってことか?


「グダグダ言ってるけど、普通に中学のおままごと恋愛で三十路越えてヨリを戻せるとか考える方がやべぇだろ」

と、ホルモンがビール飲みながら傷口にワサビ塗ってくるくらいの発言と、アルコール全身拒否の私にホルモンが、アルコール臭がする息を私に吹き掛ける事にとりあえずムカつき過ぎて、



烏龍茶ぶっかけた。




「は、はぁ!?真名子の為に付き合ってやったのに何してんの!!」
「はぁ!?じゃねぇわぁ!!人が真剣に落ち込んでんのに優しい言葉一つもくれない親友がいるか!」
「現実を見なさいよ!」
「見たくないからこうなったのも察すれよ!!」


ここ、何階かわかんないけど凄い縦に伸びてるホテルの一室。
中学の3クラスの担任3人と、保健室の先生と家庭科の先生とか国語の先生とかいて、同窓会だけど幹事は着物とか着ちゃってるくらい、まぁまぁちゃんとした同窓会。

え?私?
ホルモンとクソザコの低レベルで同級生の前でマジ喧嘩。
ちなみにこれ、私達意識してなかったけど割りと昔から名物らしくて女の担任が、

「あぁ久しぶりに見たわ。金太と肉屋の喧嘩」

ってほのぼのしながらビール飲んでたって他の同級生が言ってたけど、ホルモンのこと肉屋って言うのそれちょっと可哀想だから名字で呼んであげてよ担任。





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