友達以上恋人未満の片想い
五十嵐に背を向けて行こうとすると、「ちょっと!」と腕を掴まれた。



「でも一応、俺の初恋なんだよ!だから諦めたくはないんだ。ちゃんと頑張るつもり。だからさ、ダブデ付き合ってよ。星野さんみたいな子は一対一だと来てくれないと思うからさ」



面倒くさいし、イライラする。



「おまえ言ってることとやってること矛盾してるぞ。そんな中途半端な態度だから好きな女も振り向かせられないんだろ」


「なんだよ。好きな女の子と付き合えてる芦屋には俺の気持ちなんてわかんないだろーな!もういいよ」



五十嵐が不機嫌さを隠そうともせず行ってしまった。



「…俺だって、好きな人の好きな人になりてぇよ」



見えなくなった五十嵐の背に向けてそう呟いた。
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