強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 夕食後。

 とうとう我慢できなくなった。


「藤太」

「はい、お嬢様」

「少しよろしくて?」

「何でしょうか」

「……今日はどうかしましたの?」

「別に」

「嘘ですわ」

「嘘じゃない」

「では、なぜそんなに不機嫌なのです?」


 藤太がグッと言葉に詰まる。

 わたくしは一歩近づいた。


「わたくし、何かしました?」

「してない」

「なら──」

「……あの人と仲いいんだな」

「え?」


 一瞬、面食らった。


「あの人……尚人さん?」

「うん」


 藤太が顔を背ける。


「昔からの知り合いなら、当然か」

「……」


 その言葉が、なぜか少しだけ嬉しかった。


「もしかして……嫉妬していますの?」

「は?」


 藤太が勢いよく振り向いた。


「誰が?」

「あなたが」

「してない」

「しています」

「してないって」

「では、どうして尚人さんのことを気にするのです?」


< 115 / 182 >

この作品をシェア

pagetop