強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
夕食後。
とうとう我慢できなくなった。
「藤太」
「はい、お嬢様」
「少しよろしくて?」
「何でしょうか」
「……今日はどうかしましたの?」
「別に」
「嘘ですわ」
「嘘じゃない」
「では、なぜそんなに不機嫌なのです?」
藤太がグッと言葉に詰まる。
わたくしは一歩近づいた。
「わたくし、何かしました?」
「してない」
「なら──」
「……あの人と仲いいんだな」
「え?」
一瞬、面食らった。
「あの人……尚人さん?」
「うん」
藤太が顔を背ける。
「昔からの知り合いなら、当然か」
「……」
その言葉が、なぜか少しだけ嬉しかった。
「もしかして……嫉妬していますの?」
「は?」
藤太が勢いよく振り向いた。
「誰が?」
「あなたが」
「してない」
「しています」
「してないって」
「では、どうして尚人さんのことを気にするのです?」