強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 そのまま部屋を出ていってしまう。


「……?」


 今の、なんだろう。

 胸の奥に、小さな違和感が残った。

 その日の午後。

 わたくしは庭を尚人さんと散策していた。


「この庭、昔と変わりませんね」

「そうですね」

「でも、瞳さんは変わりましたね」

「わたくしが?」

「ええ」


 尚人さんがわたくしを見る。


「綺麗になった」

「……」


 不意打ちだった。


「ありがとうございます」


 少しだけ心臓が跳ねた。


「尚人さんも変わりましたね」

「そう?」

「昔より、大人っぽくなりました」

「それなら、お互い様だね」


 二人で笑い合う。

 そのとき、庭の向こうを藤太が歩いているのが見えた。

 不意にこちらを見て、すぐに顔を逸らした。


「……藤太?」

「どうかしましたか?」

「いえ」


 わたくしは彼の背中を見つめる。

 どうして、あんな顔をするのだろう。


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