強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「では、どういう意味ですの?」


 藤太は拳を握った。


「お前には、これ以上迷惑をかけたくない」

「また、それですか」

「瞳」

「約束しましたよね」


 目の奥が熱くなる。


「一人で抱え込まないと」

「でも、俺たちは違う」

「何が!」

「お前は久保寺家のお嬢様だろ!」


 藤太が初めて声を荒らげた。

 わたくしは驚いて黙る。


「俺たち施設側の人間と、お前は違う」

「……」

「家の中で反対すれば、お前の立場も悪くなる」

「それでも──」

「俺が勝手に巻き込んで、お前が家族と揉めるなんて、そんなの嫌なんだよ」

「……藤太」

「だから」


 藤太は苦しそうに笑った。


「俺一人でやる」

「一人でなんて……」

「やる」

「無理です」

「無理でもやる」

「どうしてそんなに頑ななのです?」


 藤太は黙った。

 わたくしは一歩近づく。


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