強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 庭に出ると、藤太がいた。

 いつもならわたくしを見つければ、すぐに声をかけてくる。

 でも、今日は違った。


「藤太」

「……瞳」


 彼の顔を見た瞬間、もう知っているのだとわかった。


「聞いたんですね、みそら園のこと……」

「ああ」


 藤太は泣きも怒りもしなかった。

 ただ、庭の向こうを見ていた。


「あそこ、なくなるんだな」

「……まだ、何もかも決まったわけではありません」

「決まったよ」

「でも、わたくしがお父様に──」

「いい」

「え?」

「瞳は何もしなくていい」


 その声は、いつになく静かだった。


「俺がやる」

「何を?」

「みそら園を残す方法を探す」

「わたくしも一緒に──」

「駄目だ」


 即答だった。


「どうして?」

「これは俺たちの問題だから」

「……わたくしには関係ないと?」

「そういう意味じゃない」


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