強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
「あなたは、何も聞かずに決めていますわ!」
「……」
「わたくしは、そんなに信用できませんか?」
「違う」
「では、何ですの?」
「……怖いんだよ」
「え?」
藤太が、ぽつりと言った。
「お前を好きになったら……」
息が止まる。
藤太自身も、言ってしまったことに気づいたのか。
目を見開いた。
「……今、何と?」
「……何でもない」
「聞きました」
「忘れて」
「嫌です」
「瞳」
「もう、逃げないでください」
藤太が黙る。
わたくしは胸の前で手を握った。
ずっと。
言えなかった言葉。
怖くて。
口にできなかった気持ち。
「わたくしは……」
声だけでなく手足も震えた。
「あなたが、大切です」
藤太の目が揺れる。
「……瞳」
「あなたが傷ついているのを見るのが嫌です」
涙がこぼれた。