強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 人に頼ることも、藤太はちゃんと知っていた。

 そのことに安心したような嬉しいような、複雑な気分になる。

 そんな気分を払拭するように広げた消毒液やガーゼ、包帯を片付けると、キャビネットに戻した。

 沈黙と、ドライヤーの音だけが部屋に響く。


「……」


 気まずい。

 悪いことなんてしてないのに。

 藤太の正面に座って、膝の上で手を重ねる。

 ……彼が髪を乾かしたら、そのまま帰す前にある程度話を聞いておくべき?

 やっぱり夜も遅いし、傘を貸してすぐ帰したほうが……。

 うんうん考えていると、ドライヤーの音が止まった。


「ありがとう、もう大丈夫」

「……それはよかったです」


 ドライヤーを受け取る。さて、どっちにしようか。どちらにせよ施設について詳しく聞きたいし、また会う約束を取り付けないと。


 ──コンコンコン。


 心臓が飛び出そうな気がした。



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