強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 だから、今日も平然とした表情で日々を過ごす。

 何も問題はないのだと、完璧なお嬢様として。


 ──なのに、だ。

 放課後になって、屋敷に戻ったとたんに。


「……藤太はどこです?」


 驚くほどするりと口から出ていた。

 まるで親の姿を探す幼児のようで、頬が熱くなる。

 出迎えてくれた使用人は、目に優しい光を浮かべた。


「藤太さんでしたら、先ほど学校から直接来られました」

「……そう」


 今日もちゃんと来てくれている。

 その事実に、口の端が上がりそうになる。


「買い出しに出かけております。そろそろ戻る頃かと」

「……そう、わかったわ」


 わたくしはいつものすました顔で廊下を歩き出した。

 別に待っているわけではない。

 彼には彼の生活があるし、毎日は来れない。施設で人手が必要ならそっちを優先してもらっている。

 今日は来てくれるなら嬉しい。


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