強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 自分が傷つくと、悲しむ人がいることはちゃんと理解しているのは良かった。

 それでも。

 自分が傷つくことを選択してしまう人だ。

 正義感が強くて、誰かを守ることばかり考えて。

 ──だからあの日、放っておけなかったのかもしれない。


「おい、ここだぞ!」


 突然、門のほうから声がした。刺々しい声に、身体に緊張が走る。

 藤太の表情が変わった。


「あいつら……」


 そっと身体ごと振り向いた。

 門の外に、数人の……いかにも素行の悪そうな少年たちが立っている。


「おい、藤太」

「出てこい! でないとあのガキども連れてくるからな!」


 ここに入り込んで事を起こすつもりはないらしい。少しは理性があるということかしら。

 田中に目配せをして、門の外に出ようとする藤太の腕をつかむ。


「ダメです。戻って」

「大丈夫、久保寺家に迷惑はかけない」



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