強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
だけどいつまで待ってもそれは訪れず、恐る恐る目を開けた。
「無事か?」
藤太に抱き止められていた。
「だ、大丈夫です!」
「本当に?」
「何ともありませんわ!」
こんなときなのに顔が熱い。
藤太は気づいてないようで、それがありがたいような残念なような、複雑な気分。
「じゃあ、俺の後ろに──」
「嫌です。あなたは我が家の使用人なのですから、勝手な行動は許しません」
「いや、でも」
「戦えるのはわかったでしょう?」
「……そう、だな」
藤太は少し困った顔をして、厳しい顔をした。
「ヤバいと思ったら警察を呼びに行ってくれ」
「あなたも逃げるの」
「俺は平気」
「そんなわけないでしょう!」
言い争っている間にも、一番のっぽの少年が向かってくる。
「イチャついてんじゃねえ!」
とっさに横に飛び、男の腕をかわした。