強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 焦らずに、基本である相手の足の動きを見る。

 踏み込んだ瞬間。


「!」


 足は確かに払った。


「しまっ……!」


 のっぽは倒れず、逆に腕をつかまれてしまった。


「よくもコケにしやがったな!」

「うっ……!」


 骨が折れそう。

 相手は細身だけれど力が強く、振りほどこうとしても上手くいかない。


「瞳!」


 藤太が決死の形相で駆け寄ってきた。


「離せ!」

「うるせえ!」


 のっぽは藤太に意識を向けた。

 わたくしはその隙を逃さず身体をひねる。


「藤太、避けて!」


 藤太が身をかわして蹴りを避ける。

 その瞬間、のっぽの手が緩んだ。

 わたくしは急いで腕を抜き、どうにか距離を取る。

 息が上がって、心臓が激しく鳴って耳元で聞こえるような気がする。

 身体中が震えてるのが自分でもわかる。

 それでも、逃げたくない。

 藤太を置いて逃げるなんて無理。


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