恋愛偏差値が低すぎる!!
「うーんやっぱり丸は上げられないわよ」

「どうしてですか」

「加藤さんねえ、理解できずに困惑するっていうのは、言わば無に近い感情なのよ。何も思わない、何も感じない感じられないっていうのに近い。先生は友人が虎になるっていう現実では有り得ない状況で、その困惑の先にある感情を答えて欲しかったのよ」

うん、やっぱり理解ができない。

「納得がいきません。てかそもそもずっと行方不明だった友人が虎になった状態で見つかって、喜びや悲しみを感じるものなんですか?ただひたすらに困惑するだけだと思うんですけど」

「まあ、ね。加藤さんが言ってるのも理解できるんだけどね。友人が居なくなった不安や、友人が違う形で見つかった困惑、どんな姿であれ再会できたのは嬉しいのかって自分に置き換えて考えてみるといい…あ」

あ、まずい、この子にとっての地雷を踏んだ。そう言わんばかりの不安そうな顔をして、ゆっくり私の方に顔を向ける。潤んだ黒目を左右に泳がせ、下手な笑顔で誤魔化そうとしている。

「別に気にしてないですよ、自分に友達がいないこと」

そう言われると、大袈裟に肩をなでおろした。
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