~best friend~ふたりで図る距離(こい)の行方。
ーーーー彼方sideーーーすれ違いーーー
「そう言えば彼方,何であのセンパイと別れたの?」
使うロッカーが隣だからか,たまたま居合わせたユミが俺に聞く。
首をかしげたユミが,ただただ純粋に不思議がっていただけだったから,俺はふと肩の力を抜いた。
「別に,大したことじゃないけど」
「へー。思ったのと違ったとか?」
「違ったとかじゃなくて,別に好きじゃなかったし。そういうのやめた方がいいと思って,別れただけ」
告白されたから,付き合ってみた。
そのときは,好きとかどうとか,何も考えてなかった。
俺も高2で,周りもそんな話ばっかりで。
ただそういうものだと思ったから,彼氏になった。
実際なってみると,別に好きでもない人から求められるあれこれは,結構しんどくて。
帰りを待たれるのも,連絡を常にルール化されるのも。
皆何がそんなに楽しいのか分からなかった。
どこが可愛い,どこが好き。
友達に聞かれても,困るだけだったし。
彼女の友達に絡まれるのは,正直めんどくさかった。
彼女と付き合っていると言うよりは,彼女に付き合っている感じ。
自分のしていることが,もしかしたらすごく最低なんじゃないかと気付き始めたのは。
彼女と付き合うより,ほのんと遊んでる短い時間のが好きだと考え始めたとき。
先輩だった彼女が,彼女じゃなくほのんだったらと思い始めてようやく。
俺は初めての彼女と別れようと思った。
謝って,別れ話をして。
彼女はそれを拒んで,俺は数回しか顔を合わせて無いその友達にまで責められて。
ひとつきの条件で,少しだけ延長して,夏休みにも数回顔を合わせた。
それでも,俺の気持ちは変わらなかった。