この結婚には愛しかない
「英語があまり得意ではないので」とお断りをしてから、翻訳アプリを開いた。


そういえば以前社長がミシェルさんについて伊織に聞かれた時、伊織さんはこの会社に来て欲しいと言われていた。

この4月にホールディングスの元社員の人が10人ほど入社された。営業や技術者など、伊織さんを慕って来られたのだ。


もしかしてミシェルさんも?


ウォーターサーバーからプラコップに水を入れ、ミシェルさんにお出ししてからソファーに座った。

「すみません、夫は今別の会議に出席中でして、まもなく参りますのでお待ちください」

「それはさっき聞いたわ」

「(トゲがあるなあ)」

笑顔だけは絶やすまいとがんばる私とは対照的に、そんな気のないミシェルさんは、ソファーに深く腰掛け、脚を組んだ。


「あなた何歳?」

「今年30になります」

「は!?まだ20歳くらいに見えたわ!幼いわね」

「よく見てください。そんな若くないですから」

「いい意味に取らないでちょうだい。セクシーじゃないって言ったのよ。あなたで伊織を満足させられるの?」

攻撃的なスタンスに怯みそうになるのを、ぐっと堪える。


誰になんと言われても、伊織さんがいつも私にくれる言葉を信じる。
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