はじめては誕生日のあと
「何しに来たんだよ?」
「ハワイから帰ったからお土産持ってきたのー」
「連絡しろよ」
「いっぱいメッセージしたのよ。でも碧が無視するから」
「あ、通知切ってたわ。おまえ写真とかしつこいから。何十枚送ってくんだよ」

 亜美さんは私を見て肩をすくめた。
 なんだか日本人離れしていて面白い人だなって思った。

「じゃ、これお土産ね。じゃあ、チョコレートとハンカチは柚葉ちゃんにあげて」
「ああ、さんきゅー」

 亜美さんはお土産を碧に渡すと、私に今度一緒にお茶しようと言って帰っていった。
 まるで嵐が通り過ぎたような勢いで、亜美さんがいなくなったら急に静かになった。

「従姉なんだ?」
「ああ。昔からしつこく俺にくっついてくるからまじうっとうしい」
「……綺麗な人だね」

 真面目にそう言ったら、碧は少し怪訝な表情になった。
 それから急に思いついたように彼は私に訊いた。

「おまえ、嫉妬してる?」

 かああっと顔が熱くなり、思わず否定した。

「そんなことないよ!」
「何ムキになってんだよ?」
「だから、そんなことないって! 碧が昔誰と付き合っていようと私にはどうでもいいことだもん!」
「は?」

 碧はますます怪訝な表情になった。

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