あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
 ――ウリヤナは聖女だった?!
 ドクンと、血流が波打った。
『今後の生活をどうするか、ご家族とよく話し合ってください』
 ドクンと、心臓が大きく音を立てた。
 よく話し合えと言っている神官のその目は、強く訴えている。
 ――逆らったらどうなるか、わかっているよな?
 心臓を鷲掴みされたような気分だ。
『……さま……お父様?』
 ウリヤナの声に緊張の糸が解け、目を細めた。気持ちを落ち着かせ、彼女に声をかける。
『ウリヤナ。神官様もああおっしゃっていることだし、この件は帰ってからゆっくりと相談しよう。今すぐ答えを出さなくてもいいそうだ。母さんにも相談しなければならないしね。それよりも、早く向こうに戻って一緒に踊ろう』
 ウリヤナは恥ずかしそうにはにかんでから、差し出した手をとった。
 神官に深く頭を下げて、大広間へと戻る。その背には、神官からの痛いほどの視線を感じた。
 とにかく、周囲に動揺を見せてはならない。楽しく、優雅に。この日が素敵な日であったと、印象づけるために――。
 屋敷に戻り、ウリヤナの魔力鑑定の結果について話し合うこととなった。
 イーモンは悔しそうに顔をゆがませると、勢いよく部屋を出て行った。
 子爵夫人は不安そうに顔をしかめている。
 肝心のウリヤナは『神殿に入る』ときっぱり言葉にした。
 つまり聖女となって、カール子爵令嬢という立場を捨てることに異論はないと。
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