溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
キミへの気持ち
[キミへの気持ち]


「お嬢様、朝です。起きてください」


「……」


翌朝は土曜日だったから学校はお休み。


紫音が私を起こしに来てくれたけど、まだ寝ているフリをして返事をしなかった。


お布団を頭からかぶっていたのは顔を見られたくないから。


「お嬢様、朝ですよ」


「……」


「もうそろそろ起きましょう」



それから何回か声をかけてくれたけど、私は貝になったみたいに黙ったまま。


「お嬢様、まだお怒りがおさまりませんか?」


「……」


怒っている、っていうよりもどちらかと言うと拗ねていた。


子供っぽいってわかっていても、どうしても素直な態度がとれなかった。


「お嬢様、昨日のことはあまり深く考えないでお互い忘れることにしませんか?」


静かな落ち着いた声で諭すように言われた。


「……」


「俺はもう忘れました、だからお嬢様も」

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