溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
だけど、この宝石にはもうひとつ別の意味があるんだ。


ひいお婆さまからお婆さまへ、そして私の母へ代々受け継がれてきた大切な指輪。


将来、私がお嫁にいく時にこのダイヤの指輪も一緒に持っていくことになっていて。


だから、せめて指輪だけでも。


紫音のそばにいさせて欲しいって。


君と永遠に離れてしまうと思っていた昨日の私は本気でそう思っていたんだよ。


どうしてかな、そんな風に思うのっておかしいよね。


「し……おん」


離れていかないと言ってくれた君に、私は何をしてあげたらいいのかな。


どうしたら。その真心に応えられるんだろう。
 
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