溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
『ううっ、ごめん、だってだって』


知ってる、彼女が誰よりも優しい子だってことくらい。


使用人全員の誕生日を覚えてて、こっそりプレゼントを渡したり、病気で体調が悪い人がいたらいち早く気がついてあげたり。


彼女がこの邸のみんなから、天使って呼ばれてるのもわかる。


だけど、俺は誰かに甘えたりすることがとても苦手だ。


このとき、素直にありがとうって言えたらよかったけどその時の俺には無理だった。


『俺は1人で平気だよ。
男は人前じゃ泣かねーんだよ』


意味不明な強がりを吐いたが、瞳がジワっと熱くなるのを感じた。


『これは、若葉のせいだからな』


誰かの前で泣いたのは初めてで、恥ずかしかった。


『うん、うん』


さらに強い力でギュウッと俺にしがみつき時々頭を撫でてくるから、もう限界。


『……ッ』

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