半径3cm未満に(2)

11、先生が先生なら。





「ーーたさん、日向さん」

「…あ…せんせ」

「着いたよ。病院。歩けそう?」

もう着いたのか…。

いつの間にか寝てしまっていたみたいだ。

ぼんやりとしながら辺りを見渡すと広い駐車場と、“ なのつクリニック ”とかかれている大きな建物があった。

「…うん…大丈夫」

何とか車からおりて、先生は車に鍵をかける。

「いつ倒れても俺が支えるから安心して。」

先生はそう言うと、私の速さにあわせて横でゆっくり歩いてくれる。

車の中の出来事を思い出しながら1人で気まずくなり、少し先生から離れた。

「…大丈夫?」

「…あ…いや…そういうのじゃない、くて…」

「…あ…ごめん」

先生はもう気にしてなかったのか。

すごく申し訳ないことをしてしまった。

そう思いながら建物の中に入り、先生が「ここで少し待ってて」と言って私を近くのソファに座らせた。

先生は受け付けで何かを言うと、すぐにみつりさんが出て来る。

「恋衣ちゃん、ちょっと今から診察したいんだけど、いいかな?」
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