年下の彼は甘い甘い鬼



━━━夕方


落ち着いた部屋を眺めながらスマホでスーパーマーケットを探す


中央駅の近くにはデパートがあるけれど、日々の食材を買うにはハードルが高い


「あった」


アパートから然程離れていない場所に立ったピンに安堵して

エコバッグを持って外に出た


大通りから離れること徒歩約五分。お目当ての店は買い物客で溢れていた


・・・安い


スーパーマーケットというより個人商店に近い店構え

通りに面して迫り出した陳列台にはバラ売りやカゴ盛りの野菜や果物が所狭しと並んでいる


次々と手に取ってカゴに入れていく

店を一周してレジに辿り着いた時には山盛りになっていた


・・・重い


二キロのお米を買った所為で、足取り重くアパートに戻ると、また手の握力が無くなっていた


引っ越し蕎麦は買ったけれど、今日は外食にしよう


意気込んで買った割には諦めも早くて、泊まっていたホテル近くの定食屋さんに向かうことにした


スッカリ陽の落ちた街を歩く


大通りを挟んで向かい側は夜の雰囲気を出していて


駅までは比較的静かなこちら側を歩いた方が良さそうだと判断する


対岸とはいえ、街灯とショップのお陰で、思うより人通りがあることにホッとしていた


中央駅前の大きなスクランブル交差点に着くと、街は昼間の様な眩い光を放っていた















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