元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

 レインの言葉に、ユリウスはぐう、と奥歯を噛んだように見えた。
 飲み込んで、しかし口にしようとして、またやめて。しばらく口を開けたり閉じたりを繰り返したあと、しばしの沈黙があり――ややあって、ユリウスは言葉を発した。

「……そうだ」
「先代女王陛下と、王配殿下の最期についてお聞きしても……?」
「……王配殿下は、誘拐事件の時に負った傷がもとで……居合わせ、君を追いかけようとして攻撃された私をかばって、亡くなられた」

 ユリウスはここでレインを見やった。レインの赤い目と、ユリウスの琥珀色の目、視線が交わる。ユリウスの目は、己の行動を悔いているようだった。

「先代女王陛下は、イリスレインと王配殿下、大切な人をふたり、同時に失ってから心労で伏せられて……」
「儚くなった……と……」
「……」

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