誰も知らないもうひとつのシンデレラストーリー

Real&Story4

+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.+.。.:*

中庭から、戻る途中、捨てられたジュースの紙パックを見つけ

私は何も考えず、それを拾った。


「……ちょっと、待って」

「へ?」


一度、見送ってくれた皇輝の驚いたような声が響き、私は振り返る。


「……」


呼び止められたと思ったのに、何を言う訳でもなくただ驚いたように目を見開く彼に、私は首を傾げた。


…気のせい、だっただろうか。

さっきからやっぱり行動が読めない彼に、私は何もできず立ち尽くす。


彼は無言で立ち上がり、ゆっくりと一歩一歩確かめるように足を進め、私の目の前で止まった。


不思議な人だけど、皆が口を揃えて言う整ったルックス。

それは私も例外ではなくて、目の前に立つ、綺麗すぎる男の子に、心臓の鼓動は少し早くなった。


それでも、少しの沈黙のあと、彼から発された言葉は全く、理解しがたいものだった。


「運命だと、思うんだけど」


聞こえてきた言葉に、自分の耳を疑う。


怪訝な顔で見上げると、彼は、先程の驚きの表情とは一転した輝かしい表情で私を見つめていた。


その目に私は驚いて、どうしてか、思わず後ずさる。

その距離を埋めるように勢いよく近付いてくる彼に、私は同じように後ろ脚を速め、距離を取った。
< 19 / 95 >

この作品をシェア

pagetop