【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
わたしは厚い膜で覆われぼやけた視界で、眠る藍くんを見つめた。
……ねぇ、知らなかったよ。
自分の身体を犠牲にして、藍くんがわたしを守ってくれていたこと。
そうだ、たしかにそうだった。
発情中、嫌なことや傷つけられるようなこと、一度もされたことがなかった。
でもね、わたしにとっての運命の番は藍くんだったんだよ。
「……密さん、藍くんのこと、これからもよろしくお願いします」
「え? 由瑠ちゃん?」
わたしがそばにいることで、藍くんの身体を苦しめていた。
きっと、近くにいたら、藍くんはまた無理をしてしまうんだろう。
今のわたしにできることはひとつしかなかった。