【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
足を止めて、初めて気づいた。
さっき走っている時に、足首を挫いてしまったらしい。
この足じゃもう走ることはできない。
どうかこのまま気づかれずに、やり過ごすことができれば……。
そう祈るけれど、運命は無情で無慈悲だ。
「ほら、怖がらないで出てきなさい。匂いがしてるから、隠れても無駄だよ」
からかうような笑い声と足音は、こちらに近づいてくる。
そしてパッと明るく映し出されたかと思うと、男の人が持つスマホのライトがわたしに向けられていた。
「見つけた」
「あっ……」