The previous night of the world revolution8~F.D.~
…それから、およそ2時間後。

帝国騎士団隊舎の中は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。

「た、助けてくれ!仮面をつけた血まみれの幽霊が出るって!」

「馬鹿、伏せろ!匍匐前進で進め!スナイパーが100人取り囲んでるって話だ!」

「女死神が…女死神が来る!」

「頼む、通じてくれ!応援を…何で無線機が通じないんだ!」

「女性騎士は気をつけろ!強姦魔が紛れ込んでるらしい。迂闊に近づくと襲われるぞ!」

「無線機を外せ!呪いの歌が…。聴いたら呪い殺されるぞ!」

…もうめちゃくちゃだよ。

色々な尾ひれがたくさんついてる気がする。

もう何が正確な情報なのか分からないよ。

「いやぁ、ウケますねルルシー」

「…ウケねーよ…」

あの帝国騎士の皆さん、無事に明日を迎えられると良いのだが。

充分恐怖を撒き散らし、『青薔薇連合会』の幹部達に狩り尽くされた帝国騎士達が、あらかた気絶した後。

ようやく、オルタンスが「今日のこれは避難訓練でした」と、全館放送でネタばらしした。

そして避難訓練は終わったのだけど、その放送をまともに聞いている帝国騎士は、残念ながら一人もいなかった。

…これはひでぇよ。

虐殺だ…これは虐殺だよ。

「楽しかったですね、ルルシー。これ、毎年やりたいですね」

ルレイアはうっきうきだが。

こんなん毎年やられたら、帝国騎士は軒並み辞表を出して、最終的に一人もいなくなるんじゃないか?

「来年は俺も参戦しようかなー」

「…やめてやれ…」

これ以上、帝国騎士の皆さんのトラウマを増やすな。

全く、とんだ避難訓練になったものである。

…訓練っつーか、もうほぼ実戦だったけど。
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