The previous night of the world revolution8～F.D.～

その後、一緒にテーブルについて、『ブラック・カフェ』で買ってきた真っ黒なプリンを出した。

「じゃーん。どうですか？マリーフィアさん。こんなプリン、見たことあります？」

「まぁ。凄いですわね…真っ黒ですわ」

黄色いはずのプリンは真っ黒で、カラメルまで真っ黒。

何なら、そのプリンを入れている瓶も黒い。

さすが。これぞ『ブラック・カフェ』の看板メニュー、ブラックプリンですよ。

「どうぞ。食べてみてください」

「え、えぇ、いただきますわ…」

恐る恐る、スプーンを手に取るマリーフィア。

そーっと、まるで味見でもするように、ちょびっとだけスプーンにすくって、プリンを一口。

及び腰で口に入れたが、その瞬間、マリーフィアの顔が輝いた。

ふふふ。

そういう反応を期待してましたよ。

「まぁ…！とっても美味しいですわ」

「そうでしょう？」

一度「美味しい」と感じると、それでもう抵抗はなくなったらしく。

あとは、普通にパクパク食べ始めた。

「見た目は奇抜ですけど、味はとっても美味しいですわね。独特の風味がありますけど、それがまた良いですわ」

「喜んでもらえて嬉しいです。俺のおすすめのお店で買ってきたんですよ」

「さすが、ルナニアさんは素敵なお店を知ってますわね」

俺の店ですからね。

ところで、実はそのプリン。

「独特の風味」の正体は、シェルドニア王国産の、シェルドニアドロミズザリガニのカニミソなんですけど。

それは言わない方が良いかもしれませんね。

よし。黙っとこう。

「それにしても、今日は一体どうしたんですの？いきなりお土産なんて…」

スプーンを手に、きょとんと首を傾げるマリーフィア。

食べてから聞くのかよ。

「それは勿論、マリーフィアさんの喜ぶ顔が見たかったからですよ」

「まぁ…。ルナニアさんったら、口が上手いんですから…」

「おっと。冗談だと思ってます？本気で言ってるんですよ？」

「…もう…」

テレテレ。

…キモっ。　

「それに、今日はとても良いお仕事をしたので、自分へのご褒美もかねて…」

「まぁ。本当に？今日はどんなお仕事をされたんですの？」

そうだな…。なんと説明したものか。

「帝国騎士団の緩んだ風紀を正し、全ての帝国騎士の皆さんに、改めて帝国騎士としての正しい心構えを説いたんです」

「な…何だか凄いですわ」

「皆さん、感激して涙を流し、心を入れ替えてくれたんですよ」

「よく分かりませんけど、さすがルナニアさんですわ…！」

嘘は言ってないぞ。

帝国騎士の奴ら、皆涙を流して床に這いつくばってたからな。

ふっ。ざまぁ。

「…それで、マリーフィアさんは今日、どんな風に過ごしたんですか？」

「わたくしは、お友達とランチをしに行ってたんですのよ」

マリーフィアは、にこにこしながら答えた。

あぁ。そういやそんなこと言ってたな。

で、メリーディアに代返頼んだんだって？

バレてしまえ。