The previous night of the world revolution8~F.D.~
「分からない、じゃないだろ。お前の部下の誰かが新聞社に密告したから、こんなことになってるんじゃないか!」

「そ、そうだけどっ…。でも、それが誰なのかは分からなくてっ…」

「知らぬ存ぜぬで通せると思ってるのか!」

激怒して、らしからぬ怒号をあげるルルシーである。

…え、俺?

俺は別に怒ってませんよ。

ルルシーがあれほど怒ってるのを見ると、逆にこっちは冷静になるって言うか。

自然と、落ち着いてるんですよね。

「何で自警団の団員達にルレイアのことを話した?密告されるかもしれないって、考えつかなかったのかよ!」

今朝の朝刊に書かれていたことは、既に俺もルルシーも知っている。

何部か取り寄せてもらって、読みましたよ。

で、それを読んだルルシーが激昂して、こうしてブロテに掴みかかっている訳です。

何故、俺を保護していることを自警団の団員達に話したのか。

そのせいで、自警団の誰かが新聞社にタレコミして、自警団の団長が殺人犯を匿っていることが、世間にバレてしまった。

さっきちらっとSNSを確認してみましたけど。

そりゃあ酷いことになってましたよ。

「団長クビにしろ!」とか。

「自警団もグルだろw」とか。

果ては、「もう自警団とか必要ないし、解散すれば?」とかいう過激派もいた。

いやぁ。他人が炎上してるのを見るのは爽快ですね。

対岸の火事、万歳。

しかし、あながち俺にとっては対岸の火事じゃないんですよね。

眼の前の修羅場が、それを証明している。

「それはっ…!私は、仲間のことを信じてただけだっ…。私の正義に、皆賛成してくれるって…」

「何を甘いこと言ってるんだ。そのせいで裏切られて、こんな事態になってるんじゃないか!」

怒鳴り合いが止まりません。

怒ってるルルシー、イケメンで惚れ惚れしちゃいそうですけど。

それを今口にしたら、ルルシーが激おこくらいじゃ済まないので、お口チャック。

「どう責任を取るつもりなんだよ?世間の批判に晒されて、ルレイアがこれ以上追い詰められるようなことになったら、お前は…!」
 
「そ、それは…!」

…お口チャックしてよう、と思ったけど。

ルルシーの怒りは募るばかりで、今にも拳銃を抜きかねない勢い。

さすがにこの場で決闘が起きたらヤバいので、そろそろ止めに入った方が良いかもしれない。
 
ほら、こうなったルルシー、止められるのは俺だけなので。

しかし。

「ちょっと落ち着いてください、ルルシー」

「黙ってろ、ルレイア。今俺はブロテと話してるんだ」

「あ、はい…」

物凄い剣幕で睨まれて、引き下がらざるを得なかった。

ルルシー、こわっ。

…って、それで引き下がってちゃ駄目なんですって。

本当に決闘が始まりそう。

「短気は駄目ですって、ルルシー。ブロテをどうするつもりですか」

「ど、どうするって…」

「ちょっと落ち着いて。怒鳴り合ってる場合じゃありませんよ。こうなった以上、落ち着いて冷静に話し合いましょう」

「…お前の口から、『落ち着いて』なんて言葉が出てくるとはな」

え?ちょっとその皮肉、どういう意味ですか。

俺はいつだって落ち着いてるじゃないですか。
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