社内捜査は秘密と恋の二人三脚

近づく距離

 翌日。

 出社したら私の机の横に段ボール箱がある。溶解用の箱だ。専務の付箋がその箱についている。

『北村さんへ この箱も溶解して下さい。中身は僕が入れたのでそのまま運んでおいてもらえればいいです。今日の便に間に合えば乗せて下さい 畑中』

 専務、今日が運び込みの日だって把握しているんだ。この中身何?絶対怪しい。

 私は中身を自分で別な段ボールに入れ替えようと蓋を開けて中身を見た。すると、これも営業二部の案件だ。

 担当者印を見ると、峰山さんだ。やはり間違いない。何かあるんだ。内容は?大阪の美術館に関する内容?よくわからない。

 これをどこに置いたら見つからないで済むのかな。ガラス越しに鈴木さんを捜す。今日は机に向かってる。それにしてもこのことをどうやって話したらいいの?

 とりあえず、社内メールをしてみる。ええと、『聞きたいことがあるので、私の所へ連絡して下さい』と書いておく。

 すると、すぐに気付いたらしく、パソコンのメールの所を開いて私の方を振り返った。うなずいてる。
 
 周りに人がいなくなったのを見計らって、ガラスで覆われた役員室へ彼が入ってきた。
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