となりの色気がうっとうしい
1.平穏な高校生活終了
「わあああ!双葉くん、今日学校来れたんだ〜!」
「起きられてえらいね?」
「えーみんな俺のことなんだと思ってんの〜もっと褒めて」
はあ……朝からうるさい。
斜め後ろの席から聞こえる甲高い声と、低くて甘ったるい声に、心の中でため息をつく。
「あれ、双葉きてんじゃん」
「おぉ、双葉っ」
続々と教室に入ってくる、目立つタイプのクラスメイトたちが次々と、彼……天海双葉の席へと集まる。
無造作に整えられた髪と、片耳で光るピアス。
着崩した制服。
欠席や遅刻は日常茶飯事。
絵に描いたような、ザ不良。
そんな彼の周りにはなぜか人が集まる。
高身長でスタイルが良く、顔がかっこいいらしいけど、ちゃんと見たことなんてない。
ああいう雰囲気のグループは昔から苦手だ。
できるだけ関わりたくない。
世の中のルールや常識を、自分の私利私欲のためだったら平気で無視するタイプ。
彼らのせいで、真面目に生きている人間に皺寄せがいったり、優しい人たちが傷ついたりするんだ。
みんながもう少し他人を思いやることができれば、この世の中、だいぶマシになると思うんだけど。
本当は、あんな人種のいない、もう少し偏差値の高い学校に行きたかった、というのが本音だけど。
私にも色々と事情が……。
とにかく!
私の今の目標は、穏やかに真面目に、高校生活を過ごして、いい大学に行き、いい会社に就くこと。
毎日、忙しくて、彼らみたいに遊び呆けている暇なんてないのだ。
< 1 / 7 >