となりの色気がうっとうしい
1.平穏な高校生活終了

「わあああ!双葉くん、今日学校来れたんだ〜!」


「起きられてえらいね?」


「えーみんな俺のことなんだと思ってんの〜もっと褒めて」


はあ……朝からうるさい。


斜め後ろの席から聞こえる甲高い声と、低くて甘ったるい声に、心の中でため息をつく。


「あれ、双葉きてんじゃん」


「おぉ、双葉っ」


続々と教室に入ってくる、目立つタイプのクラスメイトたちが次々と、彼……天海双葉の席へと集まる。


無造作に整えられた髪と、片耳で光るピアス。
着崩した制服。
欠席や遅刻は日常茶飯事。


絵に描いたような、ザ不良。


そんな彼の周りにはなぜか人が集まる。


高身長でスタイルが良く、顔がかっこいいらしいけど、ちゃんと見たことなんてない。


ああいう雰囲気のグループは昔から苦手だ。
できるだけ関わりたくない。


世の中のルールや常識を、自分の私利私欲のためだったら平気で無視するタイプ。


彼らのせいで、真面目に生きている人間に皺寄せがいったり、優しい人たちが傷ついたりするんだ。


みんながもう少し他人を思いやることができれば、この世の中、だいぶマシになると思うんだけど。


本当は、あんな人種のいない、もう少し偏差値の高い学校に行きたかった、というのが本音だけど。


私にも色々と事情が……。


とにかく!


私の今の目標は、穏やかに真面目に、高校生活を過ごして、いい大学に行き、いい会社に就くこと。


毎日、忙しくて、彼らみたいに遊び呆けている暇なんてないのだ。
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