となりの色気がうっとうしい
*
「ってことで、これから遠足のための班決めをしてもらう〜男子2人女子3人のグループを好きに作れ〜班ごとに席に座ったらしおりの読み合わせだ〜」
今日最後の授業。
担任の飯野先生がそう言って、教室が一気に賑やかになる。
全員が席を立っていつものメンバーで固まっていくなか、私はポツンと席に座ったまま。
日頃、一緒に行動しているような友達はいない。
そんな私は、こういう時、全てのグループが完成された後、人数が足りないグループに入れてもらう。
あまり話したことない子たちが醸し出す気まずい雰囲気にももう慣れた。
遠足当日、グループの少し後ろを歩いて空気になればいいだけ。今までもそうやってきた。
だから──。
「西木さーーん」
え?
ゆるく伸びた声に、教室のざわめきがぴたりと止まった。
今、私の苗字が聞こえたような。
まさか、と思いつつもゆっくり顔を上げ、声が飛んできた方にチラリと目を向けた。
教室の一番後ろの窓際の席。
壁に椅子と背中を預けた天海双葉が、こちらを見ていた。
彼だけじゃない。
教室中のクラスメイトが、私と天海くんのことを交互に見ている。
「西木さん、こっち。おいで」
「へっ、いやっ……」
一体何を考えているんだ天海双葉。
私はもう、あなたとは一切関わりたくないっていうのに。
「ちょ、双葉、なに勝手に……!」
天海くんと同じ班が決まっていたらしい、クラスで一番派手な重松日葵さんが、慌てたように天海くんの袖を引っ張っている。
私を呼んだのは、きっと天海くんの独断。
その光景を見れば、私をお呼びでないことは一目瞭然。
「あと1人だれか決まってんの?」
「いや……それはまだだけど」
「じゃあ西木さんでいいじゃん。ほら、西木さーん!」
これ以上、教室で名前を叫ばれて注目されるのも嫌なので、私は仕方なく、席から立ち上がり天海くんたちのグループの輪へと向かった。