となりの色気がうっとうしい
「私はこの学校の生徒です。自分の通っている学校で、窃盗の瞬間を目撃してるんです。関係しかないです!とにかく、人のものを盗るなんて、今すぐやめてくださいっ」
「うっぜぇ〜窃盗て。大げさ」
「相手にすんなよこんなやつ、行こうぜ」
「ちょっと……!いう通りにしないと、先生にっ」
「なんか楽しそうだね?」
っ!?
突然、背後から聞き覚えのある声がして、肩がビクッと跳ねた。
「天海っ」
「おぉ、天海。まじ、聞いて?この女が急に……」
「これ、使いな。相合傘で我慢して」
え。
私の背後にいたはずの人が、私の隣に立ったかと思えば、目の前の2人の男子生徒に、ビニール傘を差し出していた。
「いやいや、これ天海のじゃん」
「俺からは遠慮すんのに、俺以外のはいいんだ?」
「……え?」
意外なセリフが彼の口から飛び出したので、思わず顔を上げて横を見ると、ニコッと微笑んでいるのが見えた。
……逆に怖い。
「ふっ、冗談。さっき職員室から借りてきた」
「けど、そしたら天海が……」
この人たち、天海双葉が相手だとこんなにオドオドしちゃうんだ。
ほんと呆れた。
「俺は大丈夫。この子の傘に入るから」
「はぁ!?」
いきなり、天海双葉が親指をこちらに向けてそう言ったから、思わず声が出た。
この人、今なんて言った?