相性がいいってホントですか!?-大嫌いな伯爵令息とマッチングした結果-
「なんかあっという間だった。ちょっと名残惜しいけど帰してやんなきゃだからな」

なんてカラッと笑われる。

“名残惜しいだなんて⋯そんなの⋯”

私もだと思った。
私も今日はあっという間に感じて、それはカイルといるのが心地よく楽しかったからで⋯


そして、もう少し一緒にいたいとそう思った。


「⋯夜がまだ、あるわよ」
「はぁ?何言ってんだよ、そんなこと男に言うと変に解釈されても知らねぇぞ」
「ばか、私だってもう⋯とっくに成人してるのよ?」
「⋯⋯え、え?」


『マッチング貴族』は心も、そして“体”の相性もピタリと合致した相手と出会わせてくれるもので。


カイルがごくりと唾を呑むのがわかった。
そっと手を引かれ、その手を握るとカイルからもしっかりと握り返されて。

そのまま連れられ、着いたのは“そういう”時に使う宿だった。
入る前に「いいのか」と確認され小さく頷く。

それ以上何も聞かないカイルに並び、しっかりと手を繋ぎながら私は彼についていった。
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