絶対零度の御曹司はおひとり様に恋をする
さすがの冬上さんでも、警察官相手に話をするのは疲れた様子だ。
「大変でしたね。お疲れ様でした」
廊下の長椅子に座り、警察署の直ぐ近くに見つけた珈琲屋さんでテイクアウトした珈琲を差し出すと、冬上さんの厳しい表情が少し和らいだように見えた。
「真下さんも…聞かれたんだろ?」
「あ、はい。でも私は短くて済みましたから…。何か、悪いことをしたわけじゃないのに、大変なんですね」
「確かに。まあでも、警察としての立場を考えたら仕方ないんじゃないかな」
「それもそうですね…」
冬上さんは大人だな。というかやっぱり、いづれは人の上に立つ人なんだと思う。物事を常に俯瞰してる感じがする。
「今日は会社に戻らずに帰宅していいと課長から連絡があった」
「あ、はい。私もそう言われました」
「平気?」
「え?何がですか?」
「いや。真下さんは帰りに新幹線に乗るのは抵抗ない?」
冬上さんは本当に気遣いの人だ。こんな大変なときに、私に対して最大限の気を遣ってくれている。
また新幹線に乗ることを想像したら、脚が震える。また同じようなことに遭う可能性はゼロじゃないから。あの犯人のナイフを振り回す姿が。血だらけになって逃げ惑う人たちの姿が、瞼に焼き付いて離れない。
「怖いです」
「だろうね。当然だ。日常では起こり得ない体験だった」
「だけど…。仕事をしていく上で出張は避けて通れませんし、我慢するしか…」
そう。我慢するしかないんだ。仕事を続けていくなら。それに、新幹線を怖がっていたら、行ける場所だって狭まってしまう。そんなのは嫌だから。
「大変でしたね。お疲れ様でした」
廊下の長椅子に座り、警察署の直ぐ近くに見つけた珈琲屋さんでテイクアウトした珈琲を差し出すと、冬上さんの厳しい表情が少し和らいだように見えた。
「真下さんも…聞かれたんだろ?」
「あ、はい。でも私は短くて済みましたから…。何か、悪いことをしたわけじゃないのに、大変なんですね」
「確かに。まあでも、警察としての立場を考えたら仕方ないんじゃないかな」
「それもそうですね…」
冬上さんは大人だな。というかやっぱり、いづれは人の上に立つ人なんだと思う。物事を常に俯瞰してる感じがする。
「今日は会社に戻らずに帰宅していいと課長から連絡があった」
「あ、はい。私もそう言われました」
「平気?」
「え?何がですか?」
「いや。真下さんは帰りに新幹線に乗るのは抵抗ない?」
冬上さんは本当に気遣いの人だ。こんな大変なときに、私に対して最大限の気を遣ってくれている。
また新幹線に乗ることを想像したら、脚が震える。また同じようなことに遭う可能性はゼロじゃないから。あの犯人のナイフを振り回す姿が。血だらけになって逃げ惑う人たちの姿が、瞼に焼き付いて離れない。
「怖いです」
「だろうね。当然だ。日常では起こり得ない体験だった」
「だけど…。仕事をしていく上で出張は避けて通れませんし、我慢するしか…」
そう。我慢するしかないんだ。仕事を続けていくなら。それに、新幹線を怖がっていたら、行ける場所だって狭まってしまう。そんなのは嫌だから。