絶対零度の御曹司はおひとり様に恋をする

「我慢か…。我慢することと頑張ることは違うだろ。真下さんが頑張るなら後押しするけど、我慢するなら反対だ」

我慢することと頑張ることは違う、か…。
優しさに満ち溢れた言葉。こんな風に話す冬上さんをみんなが知ったら、冬上さんへの評判は180度ひっくり返るはずだ。

「ありがとうございます。私も我慢と頑張りは違うと思います。でも実際には、多少の我慢は仕方ないと思うんです。何か壁を乗り越えるときには必要というか…」
「壁を乗り越える時か…。確かにそうだな。だけど、今日起きた事に関しては俺は例外だと思う。怖くて当然だし、時間がかかって当然だ。もう一度聞く。帰りの新幹線に乗ることに抵抗は?」

本当は怖い。
すごく怖い。
今だって新幹線に乗る事を想像しただけで足がすくみそうになる。
言い方は淡々としてるけど、弱い自分でもいいんだって認めてくれるような冬上さんの言葉に、すっと心が軽くなる。

「抵抗は…あります」
「だろうな」
「だけど乗らないと帰れませんから。それに…、冬上さんが一緒ですし。一人だったら無理ですね」
「ーーーそうか。でも今日はもう新幹線には乗らない」
「それじゃどうやって」
「俺も乗りたくないからな。車で帰る」
「えっ?車…ですか」
「乗り捨て出来るレンタカーで行く。ちょっと長くなるけどな。不安を抱えて新幹線で帰るよりはよっぽどいいはずだ」

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