猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
告白
屋上のベンチに座り、尚美はこの1年間にあったことをすべて告白していた。
「正直、田崎さんの言っていることは理解に苦しみます」

健一はこめかみを抑えて唸るように言った。

普通に考えれば尚美が健一のストーカーをしていたとか、部屋にカメラを仕掛けていたのではないかと疑うはずだ。

だけどこの1年間尚美はずっと意識不明だった。

ストーカーである可能性がゼロであるからこそ、健一は尚美がミーコであったという可能性を捨てきることができないでいた。

「勝手に走り出してごめんなさい。ミーコは今……?」
聞くと健一は左右に首を振った。

「女の子を助けに行ったことは覚えています。そこに車が突っ込んできたことも。だけど気がつくとミーコはいなくなっていたんです」

「え?」
てっきり死んでしまったのだと思っていたが、違うんだろうか。
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