猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
これじゃどれだけ鼻がきいてもあまり役に立つ場面はない。
健一に警笛を鳴らす機会はほとんどないから。

それじゃやっぱり、別の特技をいかしてなにかできないだろうか。

と、考え始めたときだった。
ふと布団の外から異様な匂いを感じて尚美は布団から顔を出した。

今は夜中で、隣ではいつもどおり健一が眠っている。

寝息を立てている健一を起こさないようにそっとベッドから飛び降りると、匂いがする方へと歩いて行った。

匂いは寝室の大きな窓の近くからしてきているみたいだ。
でもさすがに窓のカギはかかっていて、猫の体では開けることも難しい。

仕方なくカーテンを下からくぐって、めいいっぱい窓に体を寄せてニオイのもとを探し始めた。

すると、隣の部屋の窓から白い煙が上がっているのが見えたのだ。
その瞬間尚美は飛び上がっていた。
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