小説版 yellow 宝の星と光の戦士
☆★☆★☆★☆



 約十六年の月日が流れた、ある日のことーー。

 宝球界には妖精たちが暮らす森がある。その森の中心に存在する『龍の滝』。一人の若者が、滝の前に姿を見せた。

「何用で呼び出したんだ?」

 若者の名は、竹本(たけもと) (つかさ)。彼を呼び出した者が、その理由を話す。

「この星の支配を狙う闇の組織が存在することは、知っているだろう?」

 司の頭上から響く声。声の主は人間ではない。十メートルもの大きさの龍が、司の目の前にいるのだ。

「あぁ。十六年前、姫君が連れ去られた事件に関与していると……」

 落ち着いた様子で答える司。巨大な生物が目の前にいる状況に動じることがないのは、彼が宝球界の者だからであろう。

 宝球界には、様々な動物の姿をした妖精が存在しており、その妖精たちの主が、龍の姿をした妖精の『オロチ』。宝球界の守り神の様な存在である『オロチ』は、司の目の前にいる龍である。

「その闇の組織から、この星を守らねばならぬ。闇と戦う戦士を選出し、我の力を与えよう。その者たちを光戦士(ひかりせんし)と名付ける」

 妖精の主の力を与えられた闇と戦う者たちを、『光戦士』と名付けたオロチ。

「そしてお前を光戦士のまとめ役に任命する。」

 オロチは司に任務を託した。
< 4 / 7 >

この作品をシェア

pagetop