君との恋のエトセトラ
「本当に綺麗な月。空が神秘的に照らされて、まるでセレーネの魔法みたい」
ソファでクリスマスケーキを食べてから、凛がうっとりと夜空を見ながら言う。
「2015年、でしたっけ?クリスマスの夜に満月だったのは。えーっと、私が中学生の時か…」
頭の中で計算しながら呟くと、航が「ええっ?!」と驚いて仰け反った。
「君、2015年は中学生だったの?」
「はい、そうですけど?」
「やばい。俺、なんだがイケナイことをしてる気がする」
「なんですか?イケナイことって。それより河合さん、よく満月のクリスマスが2015年だったって覚えてましたね。お好きなんですか?天体観測」
「いや、そういう訳ではないんだけど…。ちょっと覚えててね」
ふうん、と言って凛はもう一度月を見上げる。
航はその横顔をそっとうかがった。
黒いワンピース姿の凛は、梅田にメイクされて普段よりも大人っぽい。
肌はきめ細やかなパウダーで艷やかにきらめき、頬はほんのり桜色で、唇もみずみずしくふっくらしている。
微笑みながら月に見とれる横顔は、優しくて美しかった。
(俺の話を聞いて、こんなふうに月を眺めてくれるなんて…)
航が、2015年のクリスマスが満月だったと覚えているのには、理由がある。
大学生だった当時、つき合っていた彼女とクリスマスにデートをしていて満月を見た。
なんてロマンチックなんだろうと検索してみて、次回の満月は19年後だと知る。
次のクリスマス満月も、彼女と一緒に見られるのだろうかと思いながら隣を見ると、月には大して興味なさそうで、航が贈ったクリスマスプレゼントの写真を撮ってブログにアップしていた。
その姿を見て急に距離を感じ、結局彼女とは別れることになったのだった。
ソファでクリスマスケーキを食べてから、凛がうっとりと夜空を見ながら言う。
「2015年、でしたっけ?クリスマスの夜に満月だったのは。えーっと、私が中学生の時か…」
頭の中で計算しながら呟くと、航が「ええっ?!」と驚いて仰け反った。
「君、2015年は中学生だったの?」
「はい、そうですけど?」
「やばい。俺、なんだがイケナイことをしてる気がする」
「なんですか?イケナイことって。それより河合さん、よく満月のクリスマスが2015年だったって覚えてましたね。お好きなんですか?天体観測」
「いや、そういう訳ではないんだけど…。ちょっと覚えててね」
ふうん、と言って凛はもう一度月を見上げる。
航はその横顔をそっとうかがった。
黒いワンピース姿の凛は、梅田にメイクされて普段よりも大人っぽい。
肌はきめ細やかなパウダーで艷やかにきらめき、頬はほんのり桜色で、唇もみずみずしくふっくらしている。
微笑みながら月に見とれる横顔は、優しくて美しかった。
(俺の話を聞いて、こんなふうに月を眺めてくれるなんて…)
航が、2015年のクリスマスが満月だったと覚えているのには、理由がある。
大学生だった当時、つき合っていた彼女とクリスマスにデートをしていて満月を見た。
なんてロマンチックなんだろうと検索してみて、次回の満月は19年後だと知る。
次のクリスマス満月も、彼女と一緒に見られるのだろうかと思いながら隣を見ると、月には大して興味なさそうで、航が贈ったクリスマスプレゼントの写真を撮ってブログにアップしていた。
その姿を見て急に距離を感じ、結局彼女とは別れることになったのだった。